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指が伸びない!/ばね指について

2023.07.07 | Category: 症状別

☑指が伸びなくて困っている…

☑病院で「ばね指」と言われ治療しているがよくならない…

☑注射が必要と言われたが注射は嫌…

 

このブログはそんな悩みを解決できるかもしれません。

これまで数多くのばね指症例を保存療法で解決し、同業者に固定法の指導を行った経験もある佐倉市の石本接骨院院長がばね指について解説していきます。

 

この記事はばね指の特徴や当院ならではの施術方法、セルフケアの方法をご紹介します。症状によっては後半のセルフケアのエクササイズで改善してしまうかもしれません。ぜひ最後までお読みください。

 

1、指が伸びなくなる「ばね指」とは

ばね指とは手の使い過ぎなどによる炎症により、指の曲げ伸ばしの際に指の腱が通り道である腱鞘というトンネルを通り抜けられなくなり、指が曲がったままになってしまう疾患です。

曲がった指を伸ばそうとすると、パチンと痛みとともに弾くように指が元に戻ることから「ばね指」や「弾発指」などと言われます。正式には「屈筋腱狭窄性腱鞘炎」といい、腱鞘炎のひとつです。

引用)日本整形外科学会HPより

 

ばね指は女性に多く、男性の2倍と言われています。50歳以降急激に増加し、60歳代がピークとなっています。

理由はホルモンの関係や、加齢に伴う代謝の変化により腱の通り道である腱鞘のコラーゲン成分が急速に衰えてしまうためです。

なりやすい指は「母指>中指>薬指」の順で多く、この3本で全5本中91.3%を占めると言われています。(服部ら2015)

 

ばね指が発症してしまう原因は大きく分けて3つ。

①腱に結節という「しこり」ができてしまい、腱鞘を自由に通行できなくなった

②腱鞘の肥厚(腫れ)、硬化により腱の通り道が狭くなってしまった

③女性ホルモンの関係により滑液という潤滑液がネバネバし、摩擦による負担が多くなった

 

例えるなら、「腱=電車」「腱鞘=トンネル」「滑液=自転車のチェーンの油」のように考えて頂けると、わかりやすいかと思います。

 

さて、ばね指の原因になりやすい腱鞘ですが、形の違いから2種類あります。

・輪っか型のA腱鞘→1~5つ

・十字型のC腱鞘→1~4つ

特に指の付け根部分にあるA腱鞘の1番目、「A1」という腱鞘に起こりやすいです。

 

腱鞘というのは、何かを持とうと指を曲げた際に、腱が浮き上がってしまうのを抑える役割があります。なぜA1の腱鞘になりやすいかというと、多くの把持動作は指のすべての関節を曲げます(屈曲)。その際に最も腱が浮き上がろうとする箇所がこのA1、という訳です。

 

さらに、何か物を持とうと力を加えた際に、腱や腱鞘には「約3倍」の負荷がかかると言われています。曲げ伸ばしを繰り返した際の摩擦ストレスに加え、腱と腱鞘が押さえつけられる圧迫ストレスにより炎症を引き起こし、腱や腱鞘が腫れてしまい、しこりができるといった流れで発症するのです。

 

2、ばね指になりやすい環境リスクとは

どういった方がばね指になりやすいのか、発症した方の環境を報告した論文から解説していきます。

 

・「長時間に渡る把持器の把持による腱への持続的圧迫刺激が最も主要な発生原因である」辻1950

・「包丁を長時間使用する作業者には弾発指が好発した」中原ら2000

・「弾発指の原因は引金動作よりも工具保持と関係が深い」黒沢ら1990

・「1時間30分以上の連続した手作業は橈骨・尺骨動脈の血流量を著明に減少させ、これが腱鞘炎の発生原因になる」Hansfordら1986

 

これらの報告から、長時間に渡る棒状の構造物を把持するような、例えばゴルフなどの道具を使用するスポーツ、包丁や工具などを使用する職業ではばね指の発生するリスクが高いことが分かります。

つまり、病院や接骨院などで施術を受けてもよくならない、すぐに再発してしまう、という方はこういった環境のリスクに何も対策を講じてもらえてないのではないかと思います。

 

仮に何か対策を講じるなら、

・グリップ等を長時間把持するような場合→グリップを太くする、包丁の柄にタオルを巻く

・工具保持などをどうしても変更できない場合→作業合間や休憩時間のストレッチ指導、指が弾発しない「工具の離しかた」を指導する

 

などしっかり改善に向かうためには来院できない、先生が管理できない時間帯の管理が非常に重要になります。

私は施術によってばね指を改善することはもちろんですが、その後の「ばね指を発症させない生活指導」をちゃんと教えてくれるところが良い先生だなと感じます。

 

3、ばね指とエコー

ばね指はその特徴的な症状と、身体的特徴などから詳しい検査を行わなくても鑑別は比較的容易にできます。ばね指か、そうでないか、程度の鑑別くらいできないと困りますよね。

ですが、私はより早く治すためには「エコー」による観察が非常に重要だと考えています。

 

エコーで内部を観察することで、腱が腫れているのか?腱鞘が腫れているのか?引っかかっている位置はどこだ?といったより質の高い評価が可能になり、より確信的でピンポイントに狙った施術が可能になるのです。

ひとえに「風邪」と言っても、鼻水がメインだったり、熱がメインだったり、咳がメインだったりと個人差がありますよね。「ばね指」と一括りするのではなく、より細かい評価をすることで、より早く改善するように心がけています。

 

4、ばね指とステロイド注射

整形外科でばね指と診断され、「注射しましょう」と言われたことがある方もいらっしゃると思います。「注射したけどあんまり効果無くて…」という患者さんも多いです。

実際のところ、どうなのでしょうか。

 

私は医師ではないので、ガイドラインに掲載されている情報を元にご紹介していきます。

 

一般的にばね指の注射には「ケナコルトA®」というステロイドの一種が用いられるようです。抗炎症作用が強力で、作用が長時間持続するのが特徴だそうです。

 

エビデンスは様々ですが、

・3か月後判定79%有効 Freiberg 1999

・1回目改善率84%、2回目改善率91%、再発手術率9% Mark 1999

・再発率:3か月以内5%、3~6か月28%、6~12か月28%、1年以上再発無し39% 堀内2006

といった古い論文ですが、比較的良好な結果を得られています。

 

しかし、多用することで腱や腱鞘が軟化(柔らかくなる)リスクがあり、腱の断裂等の副作用が報告されていることから、おおむね3か月程度の間隔を空けることが一般的なようです。

注射ばっかりに頼るのも良くないということです。

 

さらに、私の肌感覚ですが、個人的には注射で良くなったという患者さんは少ない印象です。これは薬のみの影響というよりは、一時的に症状の改善がみられても誤った使い方が改善していなかったり環境リスクへの対応がされておらず、すぐに症状が再発することで、あまり効かなかったと訴える方が多いのかなと思います。

 

つまり注射をしたからOK、ではなく、注射後の安静指示や環境リスクの見直し、誤った使い方の見直しなど総合的にアプローチしなければいけない、ということを理解しておきましょう。

 

5、当院独自の「ばね指専用固定」

あまりにも強い痛み、指の引っ掛かりが日常に支障をきたしている状態で、注射や手術は望んでいない患者さん向けに当院独自の固定法をご紹介します。

正式には「MP Extension Block Splint」と言います。ばね指の好発するA1腱鞘部分を伸ばした状態に保ちつつ、覆われていない関節は動きますので物を持つなどの簡易的な動作は可能です。

指の形に合わせて作成しますので、既製品では出せないフィット感を保ちつつ、ばね指を症状を防ぎます。大きい固定範囲では日常生活に支障をきたしますし、自分で外せないような固定だと「それはちょっと…」と選択されない方もいらっしゃいます。出来る限り支障を小さくし、かつ症状が改善するようにデザインした固定法です。

 

当院院長はこの固定法を外部の同業者向けに指導したことがあります。安心してご相談ください。

 

6、ばね指のセルフエクササイズ

これからご紹介するエクササイズは、非常に簡単かつ効果的なエクササイズを厳選しました。

いま症状がある方、手を使う作業が多くばね指を予防したい、という方にもおすすめです。

 

・屈筋腱のストレッチ

ばね指を発症する患者さんの多くは、握る動作やグーパーなどの作業が多く、指を曲げる腱の長さが短くなっているケースがあります。

上記の画像は指の付け根からしっかりと反らす方法です。症状がある方は痛みを伴う場合がありますので、無理なく行ってください。画像は私の手ですが、正常だとこのくらい反らせることが出来ます。目安にしてみてください。

また指を曲げる筋肉や腱は「2関節筋」といい、ふたつの関節をまたぐ筋肉なので、より効果を求めるのであれば肘を伸ばした状態で指先を反らせるように行っていただくと、さらにストレッチ効果が上がります。

 

この2つのストレッチは簡単にできて道具も必要ないので、作業の合間や休憩時間にこまめにやるように心がけてください。

伸ばしながら「3回深呼吸」するくらい時間をかけてじっくり伸ばしましょう。その時は何回も行う必要はありません。1セットをしっかり伸ばしましょう。

 

・ブロッキングエクササイズ

ブロッキングとは、対象の組織を狙って動かす為に、どこかの関節を固定(ブロック)して行うエクササイズです。

これは指を曲げる2つの腱を同時に動かすエクササイズです。第2関節のすぐ下を固定し、指先を曲げます。指の付け根の関節さえ曲がらなければばね指の症状を出さずに腱を動かすことが出来ます。痛みを伴う場合はゆっくり、少ない回数から行ってください。

次は第1関節のすぐ下を固定して、第1関節のみを曲げ伸ばしするエクササイズです。2種類ある指を曲げる腱のうち、ひとつは動かず、もうひとつは動くことで腱同士に滑走性が生まれ、滑りが良くなります。これも痛みを伴う場合はゆっくり、少ない回数で行いましょう。

 

各方法を1セット10回を目安に、1日2~3セット頑張りましょう。

 

・A1腱鞘のストレッチ(指握り体操)

ばね指の原因となるA1腱鞘は繰り返す炎症により硬化(硬くなる)します。そうなることで、さらなるばね指の症状を引き起こしますので、ここもしっかりとストレッチしましょう。

自分の指で行う場合、2~3本の指を画像のように握ります。握った指を離さずに、グッ、グッ、と繰り返し握ります。この時もゆっくりかつ、力強く握ることでよりストレッチ効果が高まります。もし引っ掛かりが起こってしまう場合は、指の本数を増やしてみてください。握る指が細いと指が深く曲がってしまい、症状が出てしまう可能性があります。

もしなにか道具を使う場合は、リモコンくらいのサイズがおススメです。画像はエアコンのリモコンでやっています。指を握るよりもしっかりしているので、より力を伝えやすく、こちらのほうがやりやすい方もいらっしゃると思います。

 

両方行ってみて、効果を感じるやり方、やりやすく続けられるやり方で行ってみてください。

1セット10回で1日2~3セットくらいが目安です。

 

 

いかがでしたでしょうか。

少々専門用語を使ってしまい、難しい内容だったかもしれません。ばね指とは?という部分はすっ飛ばして、後半のセルフエクササイズ部分さえやっていただければ構いません。

それで改善すれば御の字ですが、もし痛みが出たり、ひどくなる場合は、今かかっている所に相談するか、当院にご相談ください。